こんなニュースが流れました。
http://www.sankei.com/affairs/news/160216/afr1602160042-n1.html
過払い金返還請求の着手金を「今だけ」無料や割引にすると期間限定のキャンペーンのように繰り返し宣伝し、実際は5年近く続けていたのは景品表示法違反(有利誤認)に当たるとして、消費者庁は16日、弁護士法人アディーレ法律事務所(本店・東京)にこうした表示をしないよう措置命令を出した。
同事務所は債務整理を多く手掛け、テレビCMなどで知られる。
消費者庁によると、同事務所は平成22年10月~27年8月、ウェブサイト上で通常は約4万円の着手金を「1カ月限定」で無料や約1万円にするなどとうたうキャンペーンを50回以上繰り返した。実際にはこの間、ずっと無料などのサービスを続けたという。
2016.2.16 16:25 産経ニュース より
このニュースについては、同事務所に対する業界内での風評もあり、Facebookでも盛んにシェアされて、さながら”晒し”に遭っていたような感じですが、よくよく考えていると、この問題は、
日弁連が「弁護士の業務広告に関する規程(以下、「広告規程」)」を適切に運用していれば、こんな問題にならない
はずです。→上記規程の運用指針はこちら
日弁連が、広告規程について摘発したといった話は、まったく聞いたことがありません。
広告に関する自浄作用がないことを自白しているようなものです。
これでは、弁護士自治が機能しているのか疑わされる問題ともいえるでしょう。
ある意味、最も恥ずかしいのは、日弁連なのではないか、と、私はこの報道をみて感じました。
日弁連は、広告規程を置くのであれば、適切に運用するべきだし、その意志がないのなら、規制を撤廃して自由化し、外部の規制、つまり今回問題となった景表法などの法令のみに任せるというスタンスでいくかの、いずれかしかないと思う次第です。
なお、余談ですが、私は、法テラスによるとある宣伝行為が広告規程違反になるのではないかと考え、弁護士会に申し入れをしましたが、弁護士会の回答は「問題ない」、というものでした。
事ほど左様に、広告規程は、機能していないのだな、と感じます。
今後も、こうしたケースは増えると思いますが、広告規程違反によって事前に止めることは期待できそうにありません。
利用者は、弁護士の広告については、日弁連の統制が効いているとは思うべきではなく、通常の企業の広告と同様に、その真贋をよく見極める必要がある、のかもしれません。