国連が推進するテロ対策条約である、いわゆる越境組織犯罪防止条約との関係で、かねてから政府が提唱してきた「共謀罪」は、無意味なんですよね。
むしろ、「黙示の共謀」が明確化されてしまいます。
今の刑事実務からいうと、これは非常に恐ろしい。
正犯(実際に犯罪の実行行為をしたヤツ)と、どこかで同じ場にいただけで「黙示の共謀」が成立しかねないということになります。
この点、「団体の活動として、当該行為を実行するための組織により行われるもの」というのが要件であり、「普通の団体は大丈夫」と言われるけれど、「普通」かどうかをだれが決めるのか?都合が悪いと思われたらなんでも犯罪者「団体」と認定されかねない。これがキモです。
たとえば、お友達同士でのあつまりも対象になりえます。
たとえばどこどこ大学の集団レイプ事件(長期4年越えだから対象事件)。
サークルメンバーでこういう話を軽く見知っていて止めなかったというだけで、全員もろとも逮捕の可能性もありえます。
共謀の成立の認定は比較的簡単に行われます。しかも、有罪無罪のレベルではなく、逮捕の有無というレベルでいけば緩く判断されます。
といっても、実際に導入され、とんでもないことになるまでは、誰も騒がないというのが恐ろしいところ。
とはいえ、少しでも危険性は指摘しとかんといかんなーと思います。
物事には、導入することによるメリットとデメリットがあるけれど、今議論されている「共謀罪」には、メリットはほぼなくて(上記条約との関係でも失当)、デメリットばかりが多いので、法律学的観点から見ても、目的との合理的関連性から見ても、私は共謀罪の導入にはネガティブです。
ていうかなんでもオリンピックを口実に導入するなと。
そこまでしないとオリンピックできないなら、やらなくていい。
オリンピック至上主義でなんでもやろうとするのはおかしい。税金だって過剰に使っているし。