アディーレ法律事務所が、弁護士法人ごと、業務停止となりました。
業務停止となると、全業務停止(委任契約はすべて解除)しなければならず、依頼者を中心に、大きな混乱が生じると予想されます。
そこで、ここでは、この処分の軽重については自分なりの意見があるものの、それは割愛し、アディーレの依頼者がどうするべきか、を少し考えてみました。
依頼者の類型別に、注意点とやるべきことを記載しましたので、ご参考になればと思います。
①すでに依頼した方で、かつ裁判になっている(原告被告関係なく)方。
一番切迫しているのが、このパターンです。
・すでに委任契約が自動的に解除されていることになるので、直ちに裁判所に問い合わせて対応を協議すること。
・事件記録を直ちにアディーレから返還してもらうこと。
・新たな代理人をつける必要があります。地元の法律相談センターや法律事務所に電話を。
・その場合の着手金の処理などは、新しい弁護士との相談になります。
・支払済みの着手金の返還等については、アディーレとの相談。
②依頼したが裁判になっていない、裁判案件ではない場合
・アディーレに問い合わせる。ただし混乱している可能性があるので、連絡が取れない場合はこうする
ア 相手方(代理人)に連絡をとり、新たな代理人をつけるなりの対応をしたいので時間がほしいとつたえる。→法律相談センターや法律事務所に相談に行く
・新たな代理人をつけず自分でやる
③ アディーレとの話し合いがどうしても必要だが連絡がつかない、なにをどうしていいのかわからない人
東京弁護士会の相談窓口に電話をしてください。
https://www.toben.or.jp/message/seimei/post-481.html
④「アディーレの案件、法人としては業務停止ですが、担当である私がそのまま自分の個人の事件として引き継ぎます」
・これは日弁連が「弁護士法人の業務停止期間中における業務規制等について弁護士会及び日本弁護士連合会の採るべき措置に関する基準」(リンク→ここ)第二の1の九によれば「被懲戒弁護士法人の社員等は、被懲戒弁護士法人が解除すべき、又は解除した法律事件等を、個人として引き継いで行うことはできない。」とあります。
ただし、
「法第三十条の十九第二項の規定に抵触しない場合であってかつ依頼者が受任を求めるときは、この限りでない。この場合において、当該社員等は、依頼者に対して委任を求める働きかけをしてはならず、受任する場合には、依頼者から、業務停止に係る説明を受けて委任した旨の書面を受領しなければならない」とも規定されています。
すると
・アディーレの弁護士(これは社員弁護士も非社員弁護士も含まれる→第二の1一参照)が上記④の事例のごとく受任勧誘することは許されない
・依頼者からアディーレの弁護士に個人的な受任を求め、法三十条の十九第二項の規定(社員弁護士の承諾を得ること)を履践していれば受任可(ただ現実的にそこまでめんどくさいことを依頼者が求めるとは思えないが・・・)
という結論になるかと思います。
この場合、業務停止になっている事務所をその弁護士が使用してよいかどうか、という疑問がありますが、そこは論点になっていたように記憶しています。現実には、アディーレの先生がそのまま引き継ぐのはハードルがありそうです。