新年あけましておめでとうございます。

新年早々、このような堅い話題で恐縮です。どちらかというとこれは弁護士向けの投稿と思っていただいて結構です。

【非弁クラスタ向けだが弁護士向けで知っておいていただいたほうがいいんじゃないかなと思うこと】
昨年11月29日の外弁法改正により、日本弁護士との共同法人導入と職務経験要件緩和が実現することになります。
が、これと本質を一にする問題、実は非弁クラスタではちょいちょいあります。

そもそも外弁は日本国内では日本法事務できません(無資格)。が、たまに、日本に会社作ってそこで法律事務扱おうとするパターンがあります。
たとえば、こんな方法です。
①海外資本の法律事務所(以下これを「本国事務所」といいます。)に所属する人物(仮にこれをXとします)が、日本国内で外国法事務弁護士事務所(X LawOffice Tokyo。仮にこれをX’とします)を設立して外国法事務弁護士として稼働しようとした。
②日本国内に、Xを代表者とするコンサルティング会社(いうまでもなく弁護士法人ではない。仮にこれをYとします)を設立した。
③本国事務所のHPには、X’とYを紹介する項目を置いて、「X法律事務所東京事務所」「日本国内の法律顧問、法律相談をお受けいたします」との記載がある。

こうしたやり方が、X’について、(1)X、X’、Yの行為がそれぞれ非弁行為か(2)X’とXないしYとの関係が非弁提携かという論点がありました。
弁護士会は、いわゆる他士業による非弁問題でも政治的配慮(※1)からか動きが遅く、手を出さないのが実情であるのに、いわんや、外国が絡むと、当然、これは法務省マターでもあるため、会としては、政治的力関係を考慮しながら動かないといけないので、理論的な問題は明快(※2)な反面、会内での説明が厄介で(※3)、執行部にすらほとんど理解している人がいない可能性がある状態であり、会内政治的に動きようがないというのが実情(※3)なのだろうと考えています。

もっとも、この問題の本質は、「外国」「日本」ではなく、「インターネットによるプレイスフリーさ」に求められるべきだと考えております。
といいますのも、弁護士法、職務基本規程その他が、従来の「法律事務所」というリアルかつ対外的に公表された「ハコ」の存在を大前提に編まれてきたのに対し、プレイスフリーになってきたことで、弁護士がその活動拠点としてきた「法律事務所」という「ハコ」の存在意義が非常に希薄・曖昧になってきていることがあげられます。
これに対して、法律・規程は、その対応が非常に遅れています(問題意識すらないのではないかと見ています)。
したがって、国内でも、この種の問題はあって、たとえば、
・A法律事務所と福岡A法律事務所を設立
・HP上で一体の事務所として表示
という事案に対して、法20条3項の複数事務所といえるかは記載内容によってくるので、広告規程/指針での処理の余地はあるものの、今後悩ましい問題です。

外圧や外国法律事務所の問題という当初のテーマとはややズレてきていますが、外部からの国内弁護士がさらされている脅威は、別に渉外法律事務を取り扱わない国内弁護士にとっても、ひとしい問題意識があることに注意が必要だと考えています。

※1 日弁連はあんまりそんな雰囲気ではないと思いますが、単位会によっては、狭い世界なので、ありうると思います。
※2 非弁クラスタにとって、ということ。しかしながら、それ以外の会員に(これは理事者を含む)にとっては、必ずしも非弁関連の理屈はメジャーではないし関心もない。
※3 したがって、会員の承諾を取らねばならない・執行部の承諾を取らねばならないといった場面では、説明が非常に厄介であり、非弁クラスタ側が相当な説明コストを払って「主張立証義務」を負うことになる(当然、非弁クラスタにはその対償は1円も支払われないどころか、的はずれな反駁・攻撃・摩擦の的にされるリスクを負う可能性がある)。