弁護士の後藤です。
仕事柄、相続関係の相談を受けることが多いということもあり、今回は相続関係のお話をしようと思います。
大切なご家族・親戚の方とのお別れは、言うまでもなく大変悲しい出来事です。他方で、遺された方々は通夜や葬式、初七日の手配などに追われ、四十九日まで慌ただしく過ぎていくのがほとんどです。慣れないやりとりの中で、「相続の話なんかできる訳がないよ」とお考えになることは、私も共感できるところです。
とはいえ、そういったお気持ちを踏まえつつ、一つ気に留めて頂きたいことがあります。お亡くなりになった方(被相続人と呼びます)の財産に関し、プラスの財産(預金や不動産、有価証券など)よりもマイナスの財産(借金など)が多いことが明らかな場合は、相続放棄の手続をとることを検討してください。相続放棄をした方は、その相続に関して初めから相続人ではなかったものとみなされ、プラスの財産を得ることもできませんが、マイナスの財産を負うこともありません。裏を返せば、相続放棄をしないままにしておくと、マイナスの財産を背負うリスクに繋がります。
この相続放棄手続には、期間制限があります。法律上、「自己のために相続の開始があったことを知った時から三箇月以内」に行わなければなりません(民法915条1項)。これは熟慮期間とも呼ばれ、その期間内に家庭裁判所に対して相続放棄の申述をしなければいけません(民法938条、家事事件手続法201条5項)。
熟慮期間の起算点ですが、相続開始の原因たる事実(通常は、被相続人が亡くなった事実)及びこれにより自己が相続人となった事実を知った時点とされています。ごく例外的に、この起算点がずれる場合もありますが、その場面には、なかなかお目にかかれないように思われます。
相続放棄に関するお悩み事を含め、身内の相続問題でお困りの方、ぜひお早めに当事務所にご相談にいらしてください。