民事信託において、いわゆる「信託内借入」すなわち「受託者が、信託契約で定められた借入権限をもとに、受託者名で融資を受ける方法」を取ったとき、受託者が信託契約の権限に基づいて賃貸用不動産を建築後に受益者が死亡した場合に、当該信託契約において、残余財産を残余財産帰属権利者が単に取得するというスキームを取った場合に、それだけで、当該融資の債務控除を税法上受けられるのか、という論点があります。
この論点は、相続税法9条の2第6項がかかわってくるのですが、同条項が、信託終了時の扱いについて定めた4項を文言上除外しており、上記のような、残余財産帰属権利者に取得させる場合に(信託内借入による債務の)債務控除が認められるのか、という問題です。
細かい理論的な問題はここではおくとして、結論は、(債務控除は)難しい、と考えるべきであると思います。
この論点については、普段民事信託をご一緒させていただいている高島税理士のブログ(←をクリック)に詳しいのですが、信託契約を組成する際、一番気をつけるべき「終わり方」のところをどのように組成するかに影響してくるものです。
私も、高島税理士との議論の中で情報を得て、上記結論に至っているのですが、民事信託において信託内借入が想定されるようなケースでは、とりわけ、税法上の取扱に注意して組成する必要があると思います。